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【作品名】⑥こすもす
森 亮太(RYOTA MORI)
群馬県生まれ
1952-1993
【作品に関して】
作品は丸いかたちの構成です。丸は僕の大好きなかたちの一つです。丸いかたちは、自然界では、太陽や月、水滴、そして植物や動物にも茎のかたちや瞳などとして見ることができます。
作品は抽象のように見えますが、丸もまた自然界に存在するかたちならば、具象彫刻と言えるかもしれません。
色々な角度からみて動きを楽しんでみて下さい。また、米子の街が写る様によく磨いております。この作品が市民の方々のイメージの触媒になってくれればと思います。
【制作】’90米子彫刻シンポジウム
【会期】1990年7月29日~8月31日
【’90米子彫刻シンポジウムに参加して】
米子の城山で
シンポジウムも終わりに近づいたある日、いつも目の前にあった城山に登った。小高い丘と言う感じの山だが石段を上るにつれ、体から汗が吹き出した。この夏は連日、記録的な暑さが続いていた。
雨が降ったら制作を休んでのんびりしようと皆で言い合っていたのだが、この天気のせいで、毎日制作現場に向かう羽目になってしまった。そんな訳で、僕の方は雨の代わりに紫外線のシャワーを浴び炎症を起こして、雨宿りならぬ紫外線宿りで、1日現場事務所の屋根の下で休んでしまった。盆過ぎの台風以外は真夏の太陽の下での制作で、僕にとってこれだけ外に出たのは、おそらく初めての体験であった。
城山は、見た目には高く感じられなかったが、いざ登ってみると足にこたえてくる。汗を拭きながら進むと、石垣が見えてきた。その石組みは緻密で美しく、当時の石工達の意気込みが伝わってくる。城自体は残念ながら、明治初期に破壊されたということで、形を止めていないが、石垣の様子からその姿が偲ばれる。
夏草に覆われた城跡に立つと、急に視界が開けてきた。右手に大山がそびえている。とても純な名の山だ。そのなだらかな裾野を追うと日本海。水平線にそって、左へ視線を移すと先端、美保関。そこから弓ケ浜が海面に張り付く様に、ナダラカな曲線を描いている。自然が柔らかい。そして、その大自然の父と母に抱かれて、眼下に米子の街がある。それほど高いビルがないせいか、街並はゆったりして解放的だ。街はいつも自然と一緒に呼吸している感じだ。空がとても広く感じる。足下の湊山公園には、シンポジウムの青いテントが揺らいでいた。この街で作品が作れた事を、幸せに感じつつ山を下った。
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