top of page
【作品名】⑰ '96 work in YONAGO
登坂 秀雄(HIDEO TOSAKA)
東京都生まれ
1948-
【作品に関して】
地元から産出したシンポジウム使用石は、永い眠りから覚まされ、地表に出された。泥かぶりの巨石は、その存在だけでこの地方の風土を私自身に感じさせ、美しい。
設置場所の川のある景観は、対岸に人家あり、中海を背にする山があり、更に城跡の山と重なり、谷合いに、日本海に続く無限の広がりを感じさせる。設置後、見る人に風景の記憶堆積を促すと共に、石自身に記憶内包させる事が、このシンポジウムの制作目的となっている。石が米子の生活時間と共に呼吸をはじめること、人々が石と時を刻まれていくことを願う。96 work in YONAGO 自身、米子で45日間、時を刻みました。
【制作】’96米子彫刻シンポジウム
【会期】1996年7月13日~8月25日
【’96米子彫刻シンポジウムを終えて】
【4月下見打ち合わせ】
初めて訪れた米子。制作現場、設置場所とご案内頂き、実行委員の方、企画委員の方々との話し合いの中で、漠然とした幻想的な風土感を持つ、そしてスケールの大きな、存在感の強い美しい石、肌合い、色合いと申しぶんない強烈な感動を私に与えた忌部石との出会いがありました
【イメージプランニング】設置場所の状況、風景と米子の人々を、あの存在感の強い美しい石(作品)の内にどう取り込めていけるのか。過去の歴史ある米子と都市計画により変貌する米子とを、時間軸を据えて融合させてみたいという試み。自己形成のための記憶堆積、生命の時間の接点を作りたい。シンポジウム制作でのコンセブトが透明となる。
【作品プランニング】建築的な基本尺度1m、基本体積1m。三つの石の構成の接点に1mの厳格な空間を作り、自己形成の時間軸への楔を打つ体験的空間とする。核となる本体石には、川沿いの設置を考慮し、此岸、彼岸(あるいは、過去、未来)相互に呼吸する窓を開ける。窓から見える実体と見ている自己の存在の記憶は、石(作品)が新たな歴史の断片として内包する。人と作品(石)とは常に変化し、多様でありながら関わり合う。正に地中より出て眠りから覚めた石は凛として立つだけで雄々しい。その姿を失わず、かつ、その息吹きを吹き上げ、現ある風を吹き込み、人々の歴史を包み込んで建て!
【45日間の公開制作】前記コンセブトを抱き、多くの方々と接し語り合い、大いに楽しみながら、日夜、制作を続ける。当初厳格な1mの空間を想定したが、人々との関わりの中で、流動的な活きた空間へと変化した。多くの助力の結晶の結果、無事米子に大きな石が建ち、私の心の中にも石が建ち、多くの知己と、大いなる米子のエネルギーを頂く事が出来ました。今の私は、大いにさわやか、青空一杯元気です。有り難う御座いました。
45日間、様々な形で御助力、御協力下さいました方々、共に制作し、苦しみ語り合った仲間達に御礼申し上げます。又、この様に素敵な機会と出会いを与えて下さいました米子の皆様方に、心より感謝申し上げます。
だんだん。
bottom of page