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執筆者の写真ネギタ

#2 雲が行く



岩間 弘 1956-   富山県生まれ

2006年制作


【市民から見た作品】

今回は「この作品、何に見えますか?」とフォロワーの皆様にお伺いしました。作品の思いは形に表れると思いますが、皆様には一体何に見えるのだろうと思い、この様な質問をしてみました!

頂いた意見は確かにな〜と思えるものが多数ありました。不思議と食べ物に見えた方が多く、以下のようなご意見を頂戴しました。「とうもろこしを食べた後の芯」「アイスのコーン」「とうふちくわ」「ピサの斜塔」

とうふちくわ??となったので調べてみると、鳥取県東部の郷土料理だそうですね。勉強不足でした。鳥取県は歴史的な流れもあり、東部と西部には全く違った文化があると感じます。そんなこともこの彫刻を通して改めて感じました。

タイトルを見ればこの作品が食べ物ではない事は分かると思いますが、見る人によってここまで違うものに見えるとは、彫刻の世界は奥深いですね。


【移住者・ ANA CAから見た作品】

石でできているのに不思議と柔らかそうだと感じました。まるでピサの斜塔を思い出させる斜めの彫刻。何か重力を感じさせない雰囲気があり、それが見た目の柔らかさに繋がっていると思いました。

この作品のもう一つの特徴は、小さな穴が無数にあること。一体どんな意図、思いがあるのだろうかと考えてしまいました。作者がどんな思いを持ってこの穴を作ったのか分かりませんが、私はこの作品を軽く見せたいのかなと思いました。

なんで軽く見せたいのか。これは人がダイエットするのとそんなに変わらないのではと思います。体が大きければ強さを感じる事ができますし、逆に小さくなれば華奢な印象を与えられます。この作品は強さよりも柔らかさ、華麗さを見せたかったのかと思います。(佐々木)


【作者の作品に関する想い】

3月に石選びを兼ね設置場所を訪れた時、プランニングの大きさではだめだと思った。内容の大きさも必要だが、実際の大きさも必要だと。同行していただいた友松会長さんにそのことを相談すると「私もそう思います」と一言。それから石材のサンセキさんへ直行。長澤さんが相手をして下さる。最初御影石で探すが、いまいちピンとこない。決定的な何かを探していたのだと思う。 そこで出会ったのが一個の蛇紋岩(じゃもんせき)だった。かなり以前にギリシャからこの地に来たであろうその石は古色を帯び、全体の量感と相まって凄味すら感じさせていた。石の周りをぐるぐる回っている自分に長澤さんは、「良い作品を作ってくれるなら使って貰っていいですよ」と言って下さった。「やった」と思った。有り難かった。彫った事のない石を彫るという事は、違う自分を探す事。同じように見えるかもしれないが、ちょっと違う。分っている事のその先の未知のものを素材との交感との中で探すという事。どこまで行けるのか。どきどきする楽しい時間の始まりだった。 夏が来ていよいよ実際の制作。立ち上がる形ゆえ立てて彫りたいところ、時間その他の制約を考え寝せて転がしながら形を出していく。最初から立てて彫っては出ない形が必ずあると信じながら。そしていざ立てた時、取り込めるものは取り込み、修整すべきものはこわしながら、大きな空間を感じながら、立ち上がるために、より切り込んでいく。制作時の自分の呼吸、リズムがそのまま形となって伝わる事を願った。 作品は作者の手を離れると一人歩きをして、それぞれの運命を持ちながら時間の旅へと出る。米子の空気を吸い、雲や山を感じながら、多くの暖かな人達との出会いの中で生まれた作品だから、四季折々の光や風の中で、おおらかに息をしていってほしいと願っている。(原文ママ)  




【編集後記】  

恥ずかしながら蛇紋岩(じゃもんせき)を初めて聞きました。調べてみると名前の通り蛇のウロコのような模様が入っている鉱石らしいです。確かに作品の写真を見返してみると、他の作品に比べて白くて、普通の石ではないと気付きました。元々御影石を探していたとのことだが、雲を表現するにはこの石だったんだと感じました。

岩間さんは最後にこの作品を「多くの暖かな人達との出会いの中で生まれた作品」と表現しています。岩間さんにとっても初めて彫る石で、不安もあったと思います。そんななか様々な人が関わってできただろうこの作品が、このブログを通してより多くの暖かな人達と出会えれば幸いです。(佐々木)



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