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執筆者の写真ネギタ

#12生(Life)'92

酒井 良 1950-  長野県生まれ

1992年制作


【市民から見た作品】

「この作品、何に見えますか?」と今回も聞いてみた。今回は印象的だった2つをご紹介したい。まず1つ目は「モアイ像」という回答だ。この回答をみて、確かにと納得してしまった。正確にはモアイ像には顔があるが何となくのフォルムや、醸し出す雰囲気は非常に近いものがある。モアイ像も謎が多い作品ではあるが、この作品も一目で理解できないところに作品としての共通点があると感じた。

2つ目は「昔の携帯電話」である。昔というのがどの時代のものを指しているのか分からないが、左側にある小さな出っ張りがアンテナ(確かについていたような)に見えてきた。いわゆるガラケーと言われるもので、この作品もなんとなく真ん中で折り畳めるような気がしてきた。

彫刻というのは、見る人が過ごしてきた過程でも見え方が大きく変わるのであろう。面白い。


【移住者・CAから見た作品】

どこかで見たことがある形だと思い、必死に思い出すと、米子高島屋の横にあるジムや銭湯が集まるGOOD BLESS GARDENのマークに似ていると感じた。もちろん偶然ではあると思うが、この彫刻にはそう言った意味でも「米子」への強い思いを感じる。

決して顔を構成するパーツがあるわけではなく、作者もきっと顔は意識していないと思うが、何か目力というか、見られているような感覚がする。彫刻としての存在感も大きい。作者の想いを聞けば全てが解決するわけではないだろうが、この作品に関しては、例え短い文であったとしても、そこに想いが詰まっているだろう。(佐々木)


【作者の作品に関する想い】

生物、中でも人間に興味があり彫刻を始めました。表面的な凹凸よりも、力を入れることから始まる「ねじれ」、「伸び」、「圧」などのイメージに関心があり、広がろうとする力と押さえつけようとする力のバランスの中に自分の存在を確かめようとしています。


【編集後記】

とても短い文ですが、やはり作者の人となりや、彫刻への想いが伝わる文だ。タイトルもそうだが、全く人間を模した形ではないのに、「生」を感じられるのは、作者の技術然り、作品への想いの強さなのではと思った。

特に 力を入れることから始まる「ねじれ」、「伸び」、「圧」などのイメージに関心があり という箇所に関しては、普通に生活していればなかなか関心を持たないジャンルであり、作者がこの仕事についた経緯などを含め不思議に感じる部分もあった。

これほどまでの表現力を手に入れるのは簡単ではなかったと思う。米子で彫刻をするということが、いかに凄いことなのかを改めて感じた。(佐々木)


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