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執筆者の写真ネギタ

#14 磯祭


田中 毅 1952-  宮崎県生まれ

1994年制作


【市民から見た作品】

ストーリーズ機能を用いて、「この作品、何に見えますか?」と皆さまに尋ねた。特徴がある作品故に回答が集まりやすいと思ったが、やはり多くの意見を頂くことができた。私も自分だったらなんと回答しようかと、ワクワクしながら悩んだのを覚えている。

この作品をみる上で一つ肝となってくるのは、人のような彫刻は何を表しているのかだろう。こちらに関しては「侍」「兜」「兜の侍」とみな、戦国時代のような、戦う人だと言う意見が多かった。一方で手前にある円形のものである。こちらに関しては「ハンバーガー」や「マカロン」と言うような、戦いとは全く関係ない食べ物だと言う意見が出た。確かにどちらの意見も納得できる形であり、なおかつ間に層があるのが何よりリアルにさせている。

これらの意見とは別に、恐らく作品全体を指して「因幡の白兎」と回答してくださる方もいた。ここまで人間として扱われてきた彫刻。確かによくみるとツノがついていて、解釈によってはウサギの耳かもしれない。そこに「因幡の」とつけると言うことは、丸いものはワニの背中であろうか。どちらにしろ、具体的な意見が聞けた作品であると感じた。


【移住者・CAから見た作品】

見る角度によって何にでも解釈のできる作品だ。このブログ作成にあたって、1日で全ての彫刻を見て巡った日があったが、見た目のキャッチーさや、360°どこを見ても飽きない面白さに、特に記憶に残っていた作品である。

登場人物である人(なのであろうか?)が何者であるかの解釈によって、人それぞれの物語が生まれる。私にはどこか桃太郎のような、童話上のヒーローに見えた。小さくついた2つの目が、悪者を倒すんだと言う強い決心を感じさせる。どうやら貝の仲間もいるようだ。舞台は米子だろうか?

(佐々木)


【作者の作品に関する想い】

春になると磯も春らしく、人々も海辺の生物ものこのこと出て来て、遊んでいる姿が見えるようになります。この作品も祭りでもやろうかなと言う人と、海辺の生物を象徴化した形(クラゲに似ている)の物とのふれ合いを表したいと思っている作品で、のどかな感じがでればと思っています。


【編集後記】

春を意識したのどかな作品と言う思いは、見た目を通して十分すぎるくらいに伝わった。私も寒い冬が苦手な人間なので、段々と暖かくなってきて、半袖を始めて着る日はやはり今年もこの時期が来たと嬉しい気持ちになる。この作品に出てくる人が祭りでもやろうかと考えるのも納得できる。この作品の魅力的なところはこののどかな雰囲気に海辺の生物を加えたことだと思う。人だけだと祭りの好き、嫌いなどこの状況に対する対応への個人差が出てしまう。ただ海辺の生物はある一定の条件(暖かさ?)が揃うと、一斉に外へ出てくるようなイメージがある。たった一つの工夫で、作品がここまで華やかに、そして分かりやすくなるのかと勉強になった。

この文を作成している10月後半、米子は肌寒い日が増えてきた所だ。この「磯祭」、是非4月に暖かな気持ちで見に行ってみたい。(佐々木)


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