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執筆者の写真ネギタ

#17 '96 work in YONAGO

登坂 秀雄 1948-  東京都生まれ

1996年制作 


【市民から見た作品】

ストーリーズ機能を用いて皆さまに作品のイメージをお聞きしているこの企画。今回もこの作品が何に見えるか聞いてみました。そして今回頂いた意見は「イス」。なんとシンプルかつ、真っ直ぐな意見なのでしょう。確かに窪みのある石は間違えて座っている人がいてもおかしくないくらい、イスのような見た目をしています。そして立地的にも川を前に休みたくなるのも分かります。この作品は座ることよりも価値があると言うことを下記で表現できればと思います。


【移住者・CAから見た作品】

椅子のように窪んだ石が2つと、3つ四角い穴が空いた大きい石。3つ合わせて、もの凄い迫力感のある作品だ。このシリーズももう間も無く半分、ついに新加茂川周辺の作品へと移った。コンベンションセンターを抜けて新加茂川を左手にして最初にあるのがこの作品だ。故に急にあるこの作品の存在感はすごく、印象にも残っている作品だ。

この作品、角度を変えると全く違う見え方になる作品の一つである。実は大きな石にも窪みがあったり、四角の中を覗くと表と裏では違う景色が見える。一方が木を見れるのに対して、もう一方は川越しに民家が見える。彫刻作品の中に穴が空いているだけであって覗くために作られた穴ではないと思うが、どうしても覗きたくなってしまう。そしてその結果、ここまで穴越しの景色が違うと、何か意図があるのではと勘繰ってしまう。(佐々木)


【作者の作品に関する想い】地元から産出したシンポジウム使用石は、永い眠りから覚まされ、地表に出された。泥かぶりの巨石は、その存在だけでこの地方の風土を私自身に感じさせ、美しい。設置場所の川のある景観は、対岸に人家あり、中海を背にする山があり、更に城跡の山と重なり、谷合いに、日本海に続く無限の広がりを感じさせる。設置後、見る人に風景の記憶堆積を促すと共に、石自身に記憶内包させる事が、このシンポジウムの制作目的となっている。石が米子の生活時間と共に呼吸をはじめること、人々が石と時を刻まれていくことを願う。96 work in YONAGO  自身、米子で45日間、時を刻みました。


【編集後記】

作者の作品への想いを知って、非常にスッキリするというか、作者の表現したかったことを一部でも感じ取ることができ、嬉しかった。

まず一つ、大きな驚きであったのは、この作品に使われる石が、米子でとれた巨石であったということだ。作品を目の前にすると分かるが、石は想像以上に大きく、そして存在感がある。作者自身がその石のことを「風土を感じさせ」、そして「美しい」と表現したことは、米子市民にとっても嬉しいことではないだろうか。

またもう一つ驚きだったのが、「見る人に風景の記憶堆積を促す」という場面であった。真相は定かでないが、この彫刻に穴が開いているのは、設置場所の景観を最大限活かす工夫だったのかもしれない。堆積とは積み重なることだが、そのためには彫刻が見る人に根付くことが必要である。このブログも、その一役を担いたい。また「石自身に記憶内包させる事」は、この作品をこの場所で保ち続ける必要がある。どうせなら作品に、多くの人が訪れ、そしてこの素晴らしい環境に身を置いていることを内包として持ってもらいたい。私は決してこの作品の作者ではないが、米子を愛するものとして、米子を評価した作者の想いも踏まえて今後につながる活動をしていきたい。(佐々木)


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