氏家 慶二 1951- 群馬県生まれ
1996年制作
【市民から見た作品】
「この作品、何に見えますか?」とストーリーズ機能を用いて聞いてみたが、ほとんど回答がなかった。彫刻の感想を伺う企画ゆえ、このような時もあるとは思っていたが、少し特徴のありそうなこの作品というところが、意外であり、また面白くもあった。
ただ本当に皆さんにお伝えしたいのは、いつも回答いただきありがとうございますと言うことだ。私が回答者側になったとしても、なかなか彫刻作品からイメージを膨らませるのは難しいと考える。ぜひ、下にある私の考えを見て、彫刻への想いを強めて頂けたら嬉しい。
【移住者・CAから見た作品】
少し距離の離れた2つの彫刻で1つの作品となるこの作品。以前、雨の中で彫刻ロードに関する取材を受けた際に、この彫刻を用いて写真を撮ったので、とても印象に残っている。ただし、前回はこんなに距離の離れた2つが、またそれぞれが一つの作品としても成り立ちそうなインパクトを持っているため、まさか1つの作品だとは思わなかった。
作品の形に目を向けると、どうやらソフトクリームのようにねじられたものが下と上に一つずつ乗っている。全く同じ物ではなく、石の大きさも若干違うように見える。なぜ大きい方は小さい方に比べてここまで差を出す必要があったのか。これは私の一つの仮説だが、この作品の背景が目に入るような配置にしたのではないだろうか。大小二つのものが距離を離して並ぶことで、二つを同時に見ようとすると必然的に背景が目に映る。さて、作者の想いを知るとしよう。(佐々木)
【作者の作品に関する想い】
これまでの彫刻設置箇所とは異なり、河川敷の遊歩道は、対岸に昔ながらの民家と、山々の連なる風景があり、米子の原風景を感じさせる暖かみのあるロケーションをもっています。そんな情景の中で、これからの街づくりの芽となる作品を考えてみました。
【編集後記】
作者にとって米子での彫刻作成は今までとは違ったロケーションであり、ある意味挑戦だったのであろう。作品のタイトルにも表れているが、作者は米子の風景を活かし、そしてこれからの街づくりの芽となる作品を作った。私の予想も50点と言ったところだろうか。確かに遊歩道から見える景色は、様々な風景を目にすることができ、特に米子出身者でなければ暖かみを感じることができるだろう。
では果たして米子の原風景とはなんだろうか。私がふっと目を閉じて考えてみると、やはりそこには海と山が同時に目に浮かぶ。米子に住み始めて1年弱、米子城跡からの景色を見ると、当時がどのように見えていたのかを考えてしまう。ただ海も山も見えていたのはきっと事実であり、これこそ原風景だと思う。
作者は米子城跡へ登ったことがあるのだろうか。街づくりの芽となる作品を作って頂いたことが非常にありがたく感じる。(佐々木)
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