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執筆者の写真ネギタ

#28ゆめについて

林 宏 1955-   東京都生まれ

2000年制作


【市民から見た作品】

この作品では、皆様に「この作品にタイトルをつけるなら?」とお伺いした。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。特徴を捉えた面白い回答があり、私も思わずなるほどと感心した。今回は厳選してお二つ紹介する。

1つ目は「今日は、どのような髪型にされますか?〜美容室に来たうさぎ〜」という、ご丁寧に副題までついていた。この後私も書いていますが、縦に並んでいるのは何故だろうかという点を解決している回答で、ユーモアもありつつ、観察力の優れた方だと思った。

2つ目は「お前の耳の隙間が俺のファインダー」という回答だ。恥ずかしながらファインダーが分からず調べてみると、カメラでピントを合わせるために使う覗き窓のことを指す言葉だった。それを理解した上でこの回答を咀嚼してみると、先程も述べた前後で並んでいる様子、またウサギである理由もクリアしており、思わず笑ってしまった。

どちらも凄いのは、作品の特徴を十分に捉えている点である。米子にはユーモアに溢れた方が沢山いらっしゃるようだ。


【移住者・CAから見た作品】

この作品は私にとっても印象深い作品だ。米子へ来て、彫刻ロードを始めてネットで見た時、この作品を1番初めに見た。

うさぎと巫女さんだろうか。抽象的ではなく、かなり実像に近い形の2つが並び、土台には波のような模様が刻まれている。そもそも米子、ひいては山陰にとってうさぎは縁のある動物で、何かの意味があるとしか思えない。(余談であるが、東京の方へ「因幡の白うさぎ」や「白うさぎフィナンシェ」をお土産でお渡しすると、とても喜んでもらえる。)

この彫刻は不自然なまでにウサギと人が同じ方を向いている。そして横に並ぶのではなく、縦に並んでいるのも違和感を感じるポイントであろう。ウサギと人は何か遠くのものをじっと眺めているように感じる。下の土台を考えると、ここは海の上なのかもしれない。そして見ている方向を調べてみると、それは隠岐島がある。隠岐島といえば、神話「因幡の白うさぎ」にも登場する白うさぎが住んでいた島である。もしかすると白うさぎは生まれ育った故郷を懐かしんでいるのかもしれない。(佐々木)


【作者の作品に関する想い】

私の作品は見て感じていただいたまま、そのままという事になってしまいます。作品を見ていただく人の感性におまかせするのが一番良いと思います。ただ作品のイメージを具体化する上では、米子市の印象、設置場所の景観、私自身の彫刻への考え方などから生まれたインスピレーションを元にしています。私が彫刻を作る上でテーマとしている事は、「子どもと私の間で彫刻を通して何ができるのか」という事で今回もそのテーマに基づいているという事になります。私の作品を見て、子供達が自由な感想を言ってくれれば何よりです


【編集後記】

残念ながら私は子供ではないが、自由な感想を述べるのであれば、やはり米子彫刻ロードを象徴する作品の一つであり、とてもキャッチーで分かりやすい作品だと感じる。ここまで作品のイメージを見る側の感性に任せる作者も今までおらず珍しいなと思ったが、作者のインスピレーションを感じることも十分にできた。

この作品、もしもっと若い頃、子供の時に出会っていたらどんな感想を抱いたのだろうか。怖いと思うか、面白いと思うか。人間、子供には戻れないというのが残念ではあるが、当時の感性を思い出そうとする、懐かしさも感じた作品であった。(佐々木)


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