森 亮太 1952-1993 群馬県生まれ
1990年制作
【市民から見た作品】
今回も「この作品、何に見えますか?」と皆様にお伺いした。下にも記すが、執筆者の佐々木はこの作品が少し難しい作品だと感じた。一方で皆様からは非常に想像力豊かな意見をいただくことができた。
見た目と言う点ではツイストロール、巻き貝、おでん串という考えをいただけた。比較的シンプルなデザインの中、全く異なった3つの食べ物に見えるという意見が多かったのは、人々と食の繋がりの強さを感じた。
もう一点、個人的に素敵だと感じた回答が以下だ。「半分に欠けた月と太陽。切って切れない縁を持ち、互いを引き寄せあっている様に見えます!(原文ママ)」。そのまま私のものにしてしまおうかというくらい、作品の背景にあるストーリーまでが記されている。こんな素敵な回答を聞くと、皆さんに考えをお伺いするこの企画、辞められないなと思う。
【移住者・CAから見た作品】
比較的コンパクトに纏まっている印象のあるこの作品。三角錐のような土台に半円状のものが4つ刺さっている。
ではその4つにはなんの意味があるのか、刺した意味はどこにあるのかを考え始めると、はじめてこの作品の難しさに気づく。今まで扱ってきた作品は抽象的なものは少なく、見た目で何か分かる、または似ているものがあるものだった。それに対してこの作品は特別強い個性のない形が組み合わさって作られたものだ。強いて言うなら上から1番目は月、3番目は大根といったところか。
実は今回この文を書き始めるのには少し時間がかかった。上記のようにこの作品の意味を頭の中で何度も考え、分からないと言う答えがぐるぐると回っていった。結局見切り発車でここまで書き進めたが、今なお答えは見つからない。何か、彫刻に答えなどないと作者に肩を叩かれている気分である。(佐々木)
【作者の作品に関する想い】
作品は丸いかたちの構成です。丸は僕の大好きなかたちの一つです。丸いかたちは、自然界では、太陽や月、水滴、そして植物や動物にも茎のかたちや瞳などとして見ることができます。 作品は抽象のように見えますが、丸もまた自然界に存在するかたちならば、具象彫刻と言えるかもしれません。 色々な角度からみて動きを楽しんでみて下さい。また、米子の街が写る様によく磨いております。この作品が市民の方々のイメージの触媒になってくれればと思います。
【編集後記】
何か作者の策にハマったと言うか、あるいは自分が素直なのか。たった数行の想いを聞くだけで、抽象的だと思っていた作品がそうではなく見えてきた。小さい頃から丸は丸、三角は三角と教えられてきたし、それに何も疑問を抱いてこなかった。ただ自然界にはそんな常識など通用しないんだと、改めて感じた。
米子の街が写る様によく磨いているというのも、作者の想いを読まなければ気づかなかったことである。完成から30年以上経ち、完成当初に比べれば汚れが目立っているかもしれない。是非彫刻ロード清掃に参加したい。また彫刻ロード並びに米子をもっと人の集まる場所にして、必然的に明るい街が写るようにしたい。
作者の想い通り、私にとってこの作品がイメージが触媒となった。(佐々木)
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